こざくら日和 : 打たれてなお、輝きを増す人

2007-06-28

打たれてなお、輝きを増す人

ポスト @ 19:34:36 | 01.全て,04.日々の徒然

山口県光市で起きた、母子殺人事件の差し戻し後の控訴審第3公判が27日、広島高裁で行われました。今日テレビでは、被害者の夫であり父でもある本村洋さんの姿を見かけないときはありませんでした。

99年4月に起きたこの事件、凶悪な殺人事件が毎日のように起こる現代にあっても、悲惨でショッキングな事件として記憶に強く残っています。

事件当初、20代初めの若さだった本村さんにはまだ少年の面影すら残っていました。事件の加害者だった元少年とは5歳の年の差もなかった・・。それが本当に痛々しかったのを記憶しています。

裁判は、加害者が少年法51条1項の規定により死刑とならない18歳を過ぎて間もない時期に犯行を犯したため複雑な経過を辿っていますが、この8年もの歳月、本村さんが驚くほどの成長を遂げられたのを(こう言っては失礼に値するでしょうか・・)、その都度驚嘆の思いで拝見してきました。

今加害者の少年についている弁護人は21人もいるとか・・。注目される事件ほど加害者は手厚く庇護されます。それに対しての被害者の人権はどうでしょう。マスコミの風雨に晒され、世に訴えかければ「出すぎだ、目立ちすぎだ」とのバッシングにも耐えなければいけません。被害者であるにも係わらず、です。被害にあってなお打たれる遺族の心境というものは、いかばかりでしょう。

それにしても感じるのは、事件に負けることなく、打たれてもなお輝きを増す人がいるということです。

この本村さん、然りです。薬害エイズ訴訟の川田龍平さん、オウム事件被害者遺族の高橋シズヱさん、イラクで亡くなったジャーナリスト橋田さんの妻、幸子さん、そして忘れてはならないのは、拉致被害者の家族、横田夫妻を始めとする家族会の方々です。

皆さん事件の悲しみに埋没してしまうことなく、日々闘っています。そうすることによってしか悲しみ・怒りをやり過ごす術はないのかもしれません。が、彼らの強さ、凛々しさは見るものの心を打ちます。尊敬の気持ちでいっぱいになります。

この人たちの存在は、きっと同じ境遇にある人々の強い力となっていることでしょう。そして幸いにも、そうしたこととは無縁、蚊帳の外にいる私にも大きな感銘を持って訴えかけてくるのです。

事件がなければきっと平凡な人生を歩んでいた方が大半でしょう。事件によって180度変わるほどの変貌と輝きを得た人々・・その輝きが痛々しく、厳しく、時には崇高ですらあるのを見るにつけ、何だかとても複雑な気持ちになってしまうのです。

折りも折り、宮沢元首相逝去のニュースが飛び込んできました。一時代を築いた方々が亡くなる・・・。時の流れを感じ、少し寂しい思いがいたしますね。ご冥福を心よりお祈りいたします。

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コメント(6件)

打たれてなお、輝きを増す人

さくらこさんこんばんは!

確かに5歳しか変わらない被害者側と加害者。
幼い子供ならまだしも、20前後にもなれば
物事の展開を予想する事位容易に出来る筈。
ニュースを見ていて本当に切なくなります。
私個人は完成された人間では無いけど
やっぱり凶悪事件にはムカつきます(−_−メ)

今回の光市の事件を始め、未成年の甘い判断による
悲しい事件を集めたHPを台湾から日本へ
発信している方がいます。日本だと潰されるから…
被告の住所や実名を公表されている為
被告側はかなりのダメージを受けているらしい…
可哀相だけどしょうがない…と個人的に思います
死刑の善し悪しは別として今回の弁護士の
やり方には考えものです。被害者のご主人も言っていたけど、何故この事件?
死刑の賛否なら国会で戦ってくれれば良いのに!
自分の大切な人、愛する人をある日突然失ったら…
そう思えば、切なくてたまりません。
今の世の中明日は我が身…今日一日生きられて幸せです。

ってか、長くなってごめんなさい!さらば〜

From : ゆう&まぁ @ 2007-06-29 19:13:39 編集

ゆう&まぁ さん

ゆう&まぁさん、いつもありがとうございます!

私が子供だった頃を思い起こすと、殺人事件なんて滅多に起こらなかったように思うんですよ。
ところが、最近はどうでしょう。
事件の起こらない日なんてないほど、多発しています。
うっかりすると「そんな事件あったかしら・・・」なんて、記憶の彼方におしやられ忘れてしまうほどです。
特に悲しいのは、肉親同士の殺人が圧倒的に増えたことですね。
これは昔はあまりなかったように思います。
家族の歪みがこうしたところに出るかと思うと、複雑な気持ちになります。
この光市の事件はそうではありませんが、少年がまだ多感な時期に母親を亡くしたことが犯行の大きな要因であると、弁護側は主張しているようですね。
逃げのようにも思われますし、その真偽の程はわかりません。が、どんな人間にも家族の影響というものは大きいのだ、ということは真実なんだと思います。
家族が病むと、社会も病んでしまいます。
未成年が起こす事件が多いのもこうしたことが大きいのでしょう。
健全な社会を取り戻すには、健全な家族が育っていかなければいけませんね。

それにしてもゆうさんのおっしゃるように、事故にも事件にも巻き込まれず、大病もせずに今日一日を生きられるのは有難いことです。
でもこれって実は偶然のなせるわざなのかもしれません。
一日一日を大切にし、感謝の気持ちを忘れずにいなければいけませんね!

From : さくらこ @ 2007-07-01 08:32:56 編集

Re: 打たれてなお、輝きを増す人

こんにちは。
私もあの事件後、本村さんの戦いを見てきましたが、彼の人間的大きさ、強さには、
驚くばかりです。それは彼の怒り、正義感がそのエネルギーになっているのでしょうが
被告のあんな証言を聞かされれば普通、取乱し、発狂してもおかしくない状況だと
思います。しかし彼は、強くそれをも戦いのエネルギーに変えていく。

その反面、被害者の父親がここまでの強さを持っていなかったら、この事件は、
ここまでの展開を見せなかったのかもしれませんね。私がもし同じ立場だったと思うと
戦いたい気持ちは、あってもその前に潰されてしまうんじゃないかと思います。

しかし、あの被告。恐ろしいまでの冷酷な強さを持っています。でもあの強さは、
彼自身の強さではなく、弁護団の支えによって立っている。いや立たされている。
そう思います。あの弁護団は、どういう信念で戦っているのか自分には理解出来ません。
死刑廃止論は、別次元の問題です。

本村さんが言われているように法廷では、真実が何かを明らかにすべき場のはず。

最近、日本という国がわからなくなってきています。壊れてきていると感じてます。
これからは、生きる力、戦う力を家族、自分自身に身に付ける必要があると感じてます。
腐らず、諦めず、勇気をもって。

鈍感力、無関心で生きていけるほどそう甘く無いと感じています。

長文となって申し訳ありません。

PS:久々に鳥ちゃんの話題をアップしました。また遊びにお越し下さい。

From : トモヒロ @ 2007-07-02 07:46:03 編集

Re: 打たれてなお、輝きを増す人

確かに生きている加害者には未来があります。
でも、死んでしまった人の人権もあると思うし、
その未来を奪ったことは許されざる行為として
裁かれてしかるべきだと思います
精神を病んでいる(風に見せる)とかで
量刑が軽減されるのは個人的には納得がいきません。

死刑が良くないと考えるのは弁護士の勝手で偽善だと思います。

From : noharm @ 2007-07-02 12:55:01 編集

トモヒロさん

トモヒロさん、コメントありがとうございます!

おっしゃる通り、本村さんの闘いぶりには驚嘆させられてしまいます。
彼の表情が見るたびに厳しく研ぎ済ませれていくのを、感動を含めた複雑な思いで拝見してきました。
今回の裁判に対する会見でもとても冷静でしたね。
あのような被告側の主張では、激してしまい感情が高ぶってしまうの普通です。が、彼は一言一言を噛み締めるように発していました。
本当に冷静な態度でした。
中々出来ないことですよね。私も同じ立場だったら、彼のようには闘えないと思います。きっと潰されてしまうことでしょう。

本村さんは、日本では「犯罪被害者の権利が何一つ守られていないことを痛感し」、元日本弁護士連合会副会長の方と共に犯罪被害者の会を設立―幹事に就任されたそうです。
ご自身の事件のみならず、そこから更に活動の場を広げられているのは、本当にすごいことだと思います。

トモヒロさんのおっしゃるように、確かに日本は壊れてきているとも感じますね。温暖化で地球が壊れていくように、文明が進むと国も病んでいくのでしょうか。
この世に生まれたからには、人生の喜びを享受したいと誰もが望むもの・・・。でも、病んだこの国の現状には不安ばかりが掻き立てられてしまいます。何とも悲しいことですね。

From : さくらこ @ 2007-07-04 11:27:19 編集

noharmさん

noharmさん、ご意見ありがとうございます!

加害者はまだ確かに生きていて未来もあるでしょうが、対する被害者は何と言っても命を奪われているのです。しかもまだ何も分からない赤ちゃんの命まで・・。
本村さんのおっしゃるように、これは単に極刑にすればいいということではなく、被告が真摯に反省して初めて判決にも意味が出るのだと思います。
そう考えると、以前被告が知人に当てたという何の反省もない手紙の内容や、今回の裁判での申し開きは到底納得がいくものではないでしょう。
池田小事件の被告もそうでしたが、最後まで謝罪、反省の言葉を聞くことが出来なかった事件は、遺族の気持ちを考えると本当に心が痛みます。
犯人が人間の気持ちを取り戻し、しっかりと公正に裁きが下ることを祈るのみです。

From : さくらこ @ 2007-07-04 11:54:33 編集

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