2005-10-19
ルチノちゃん家出騒動記 その(3)怒涛の捜査1課・登場篇
ポスト @ 14:19:06 | 01.全て,08.家出騒動記
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その日の午後、東京から2時間ほどかけて2人の探偵がY市郊外にある我が家にやってきました。捜査のための打ち合わせです。1人はこの探偵事務所の社長、もう1人は実際に捜査に当たる人で「捜査1課・主任」の肩書きを持つAでした。Aは普段外でばかり仕事をしているためか、日に焼けて色は真っ黒・・・頭には奇妙な帽子をかぶり、腰にはズタ袋とトランシーバー・・・一見すると何の職業に就いているのか分からぬような容貌でした。
A達によると、捜査3日目くらいから情報が入り始めることが多いらしい。迷った末、6日間の捜査で契約しました。私にとっては大金をかけた「大いなる賭け」でした。
ルチノちゃんの写真を渡し、それを使って100枚のポスターを作製してもらうことにしました。また捜査中の呼び寄せのために、一番懐いている人の声をテープに録音する・・・ということで、私がやることになりました。 「ルチノちゃん!こっちだよ!おいで!ルチノちゃん!!」 なるべく普段通りの呼びかけになるように注意して1分ほど吹き込みました。その日は捜査の実際の方法などを1時間ほど話し合い、探偵達は帰っていきました。
明日日曜日早朝から捜査はスタートです。朝8時半から夕5時まで、我が家を中心にした半径1キロほどをポスターを貼りながら徹底的に聞き込みをしていく・・・とのことです。期待に胸は大きくふくらみました。
ところで探偵たちの名刺には、風流なことにある和歌が刷り込まれていました。 「立ち別れ いなばの山の峰に生きふる まつとし聞かば 今かえりこむ」 百人一首の中の在原行平の一首です。あとで聞いたところによると、あるお客さんが「これを載せておくとペットが見つかる・・・縁起がいい・・・」と教えてくれたということです。それで名刺にもポスターにもこの不思議な印象を与える和歌が刷り込まれているのでした。
「・・・・・・今 かへりこむ・・・」 私は祈るような気持ちで、この和歌を口の中で何度も何度も繰り返したのでした。