2005-10
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2005-10-30
家出騒動記 番外編 ・・・もうひとつの家出・・・
2005-10-22
ルチノちゃん家出騒動記 その(6)怒涛の捜査1課・解決篇
捜索3日目。その日も真夏のような暑さでした。ジリジリと焼け付く太陽の下、私は職場へ、Aは捜索現場へと向かいました。いつも通りのAからの「これからはじめます」コールを留守録で確認し、私はふっと今までのことを反芻しました。
思えばルチノちゃんは元気で明るく甘えん坊の子でした。あらゆるものに興味を示し、「ルチノちゃん!」の呼びかけには大きな声で「ピピッ!」と応え、私の後追いをしてはトイレにまで一緒に来るようなべったりさんでした。いなくなってしまった今では、部屋の中には全くといっていいほど音がなくなってしまいました。よくさえずるピーちゃんでさえ全く鳴こうとしません。かごの入り口をいつものように開けておいても出てこようともせず、ひっそりと止まり木に止まったまま動かないのです。 <ピーちゃんもさみしいんだな・・・このままではピーちゃんもダメになってしまう・・・> 悲しみがこみ上げてきました。私は頭の中の思考を断ち切り、仕事に没頭するよう努力しました。
午後4時半、家に戻り疲れた体をソフアーに投げ出しました。疲れているのに・・・眠いのに・・・どうしてか眠ることができません。眠ることが怖い・・・そんな気さえしてしまうのでした。午後6時を回ったころ電話が鳴りました。 <ああ、Aだな・・・終わったんだな・・・何か情報あったんだろうか・・・>
「暑いところお疲れ様でした」と言って受話器を取ると 「見つかりました!!」という怒鳴るようなAの声! <はっ!また?まさか・・・> 咄嗟にそう思いました。続けてAは言いました。 「子供が見た、と言っている方角にあるマンションの方が保護してくれています。私も見てきましたが、今度は間違いないと思います!すぐに確認に来てください」 「本当に!?はい、すぐに行きます!」 声はうわずっていました。いつもなら近くまで車で行くところでしたが、どうしたことかそうした知恵も働かず、着の身着のままサンダルをつっかけて小走りに教えられたマンションに向かいました。
そこは最近できたばかりのオートロック式のマンションでした。保護宅は5階のBさんという方でした。緊張して玄関前まで進みました。呼び鈴に20代後半とおぼしき男性が小さな鳥かごを持って現れました。 <!!!ルチノちゃん!ルチノちゃんに間違いない!!> 奇妙な興奮に襲われ、心も体もカーッと熱くなりました。必死になって冷静に振舞いました。
ルチノちゃんは家出した木曜日の翌日・・・金曜日の夕方にはこのBさんに保護されていたのです。Bさんのマンションのベランダ(5階です。ずいぶん上まで飛ぶんですね。)で大きな声で鳴いていたそうです。おなかも空いていたんだろうし、心細くもあったんでしょう・・・。Bさんの飼い犬が室内からジーと見ていたので気づいたそうです。保護されたときの様子を聞きましたが、えさも良く食べ、なんとBさんの手の中で眠ったりしていたそうなんです。 <そう・・・ルチノちゃんは男の人の大きな温かい手が好きなんだよね・・> ルチノちゃんらしいエピソードに口元がほころびました。
Bさんは本当に親切な方でした。かごやエサを買い求めてくださり、けがをしているようだからと言って、「鳥」と表示のある動物病院を探して獣医さんに診せてくれまでしていたのです!けが・・・とBさんが思ったのは持病の毛引き症(首の後ろの毛を自分で抜いてしまう)なのでした。獣医さんには「心配ない」と言われたそうです。そして駅に貼ってあるポスターを見て連絡をくれたのでした。感激で胸がいっぱいになりました。人の優しさがこのときほど心にしみたことはありません。
あらためてお礼に伺うことにしてBさん宅を後にしました。そしてAとはマンション前で別れました。 「Aさん、本当に本当にありがとう!」 「良かったですね!これからは逃がさないように気をつけて飼ってくださいね!」 「ええ、気をつけます。懲りましたからね!でももし居なくなったらまたAさんに頼むからね!!」 ニヤリとAが口元に笑いを浮かべました。そうして手を振って駅へと去っていきました。明日もう一度来てポスターを撤去してくれるとのことでした。
私はルチノちゃんのかごを手に提げ小走りに我が家に向かいました。仕事中かな・・・とは思いましたが帰る道々夫にも電話を入れてみました。 「ルチノちゃん、帰ったよ!」 「えっ!ホント?そうなの?」 抑えた声でしたが喜びが滲み出ていました。夫は夫で眠れぬ夜を過ごしていたのです。家族みながそうなのでしょう・・・。 <ああ、本当にルチノちゃんが帰ってよかった!本当によかった!!> ふつふつと喜びが湧き上がってきました。
「さあ、ルチノちゃん、帰ろう!おうちに帰ろう!!」 私はかごの中の小鳥にそっとささやき、暮れなずむ空の下、家路へと急いだのでした。
・・・そして 今・・・
ルチノちゃんは帰ってしばらくはここでの習慣を忘れかけているような気配がありました。かごから出すと、いつもよく止まっていた鏡の前の綱にすぐに飛んでいきましたし、自分の元のかごの上にもサッと飛んでいきましたから、全く忘れているわけではないようです。でも「ここではこんなことをしていた」「こういう時はこんな行動を必ずした」というような”お決まり”のすり込まれた習慣はしばらくは見られませんでした。
無理もありません。出たこともない外の世界・・・夜の闇・・・知らない人の家(おそらく犬の居る家では放鳥は無かったことでしょう)・・・全く初めてばかりの経験、ショッキングな経験をしたのです。きっと徐々に思い出していくだろうと思い、温かく見守っていきました。
完全にもとの習慣が戻ってきたのは2週間くらいたったころでしょうか・・・今では前以上におちゃめでやんちゃなルチノちゃんです。壁紙をはがしたり、棚の上のものを落としたりして喜んでいるルチノちゃんを私はあわてて追い掛け回している・・・そんな日々を過ごしています。
HAPPY LIFE! しあわせな日々が私たち家族に戻ってきました
2005-10-21
ルチノちゃん家出騒動記 その(5)怒涛の捜査1課・捜索2日目篇
翌月曜日、私は仕事です。朝Aから「はじめます」コールが入りました。・・・Aさん、お願いします・・・心の中で手を合わせました。しかし気持ちは大きく揺れ動いていました。なまじ初日にニアミスがあっただけに大きな絶望感が残ってしまいました。その反面、 <また有力な情報があるかもしれない・・・今日こそ見つけたと連絡が入るかもしれない・・・> あるはずもない・・・と分かっていながら、そういう思いもまた心の中でふくらんでいきました。それをどうすることもできませんでした。とても辛い心境でした。
仕事から帰り、しばらくした午後6時過ぎ、Aから報告の電話が入りました。今日も足を棒にして捜したが、有力情報は得られなかった・・・ただ我が家から東の方角にある某公園の近くで「何日か前に黄色い小鳥を見た・・・」という子供の証言を得た・・・ということでした。 「でも子供の証言だからあまり当てにならない・・・まあ明日はその証言の方角を重点的に探して見ますよ・・・」と言い電話は切れました。
<黄色い小鳥を見た・・・黄色い小鳥・・・ルチノちゃんだろうか・・・子供の証言だ。分かりはしない。ああ期待するのはもうやめよう。辛すぎる・・・> そう思いましたが、心のどこかでは <それはルチノちゃん、きっとルチノちゃん!!> そう信じる気持ちが否定しても否定しても湧き上がってくるのでした。
黄色い小鳥・・・黄色い小鳥・・・東の方角・・・きっといる・・・きっと見つかる・・・
そんな言葉がメリーゴランドのように頭の中をぐるぐると回りながら、捜査2日目の夜もひっそりと更けていったのでした
2005-10-20
ルチノちゃん家出騒動記 その(4)怒涛の捜査1課・捜索1日目篇
捜査1日目は日曜日でしたが私は仕事、夫は法事、子供たちは部活・・・と家には誰も居らず探偵Aに任せっ放しの一日になりました。 <ちゃんと捜査をしているだろうか・・・> 心配でしたが疑えばきりがありません。Aを信じるしかない!そう思いました。
朝8時半には「これから捜査をはじめます」というAのコールが携帯にかかりました。今日は9月にしては真夏のような猛暑・・・ <さあ、A!頑張って!!私も仕事、頑張ろう!>
仕事中もこの暑さの中、街を歩き回っているAのことが頭をかすめましたが、敢えて考えないよう、仕事に集中するよう、自分に言い聞かせました。 <夕方にはその日の捜査の状況を報告する電話がAから入るはず・・・まだ初日だからたいした情報は無いだろうな・・・どのあたりを捜索したのだろう・・・> そんなことを考えつつ家への道を車を走らせていたとき、携帯電話が鳴りました。時間は午後4時少し前・・・まだ早い。Aではないだろう・・・そう思い携帯を取るとAの弾んだ声が耳に飛び込んできました。 「インコの保護情報が入りました!!黄色いインコだというのでそうだと思いますよ。そちらが戻り次第、先方に確認に行きましょう!」 [ええぇーー!!本当にー!?すごい、すごい!まだ初日じゃないですか!Aさん、すごい!!」 私はもう天にも昇る気持ち・・・まさに有頂天でした。 <ルチノちゃんに会える!ルチノちゃんに会える!!> はやる気持ちを抑えながら家への道をひた走りました。
ややあって、一足先に帰っていた長男から携帯に電話がかかりました。 「いまAさんから向こうで撮った写真を見せてもらったけど、ルチノちゃんじゃないよ!似てるけど・・・違う・・・」 「うっそ!そんなーそんなー!でもまだ分からないじゃない!。ルチノちゃんかも知れないじゃない!」 何を信じていいのか分からない気持ちでした。 <とにかく家に帰ろう・・・早く帰ろう!>
家にたどり着くと玄関前にAが待っていました。 「息子さんに写真見てもらったけど、違うらしいねえ・・・黄色いインコだっていうから、てっきりそうだと思ったんだけどねえ・・・」 Aもがっかりしたのか浮かぬ顔です。私もデジカメで撮った写真を見せてもらいました。 <確かに黄色い・・・でも目のふちが白い・・これはルチノー系のボタンインコ・・> すぐにそう思いましたが、 <写真だけでは分からない。ちょっと違って見えるのは外をさ迷っていてうす汚れてしまったからかも知れない・・・> そんな馬鹿なことを頭の中で考えつつこう言いました。 「一応自分の目で見ないと納得できないので、確認にいきます!Aさん、お願いします!」
長男、次男、私、Aの4人は歩いて7、8分の所・・・街の反対側にある某自動車整備会社に向かいました。そちらで保護してくれていたのは優しそうな感じの上品な老夫婦でした。 少し前に会社のシャッターの中に飛び込んできた・・・ということでした。早速保護鳥を見せてもらいました。小さなかごに入れられた黄色い鳥が姿を現しました。ゴクリ・・・と喉が鳴りました。 <・・・違う!これはやはりボタンインコ・・・ルチノちゃんじゃない!!>
「ありがとうございました・・・。違うようです。残念ですけれど・・・」 先方も、私たちも、Aもみながっかりしました。かごに手を近づけるとボタンインコは怖がる様子も無く手に噛み付いてきました。 <ああ、この子も手乗りだな・・・飼い主は心配してるんだろうな・・・> 辛い経験をしたためか、少し攻撃的になっている目の前のインコがあわれでした。この夫婦は近所の鳥好きの方にかごを譲ってもらい、エサを与え、「迷子のインコ保護」の貼紙を会社前に貼ったりして飼い主が現れるのを待っているようでした。 <やさしい方たちだな・・・うちの子もこういう方に保護されていればいいけれど・・・> 涙がにじむ思いでした。
厚くお礼を言いこの会社をあとにしました。もう5時を大分まわっていました。 <今日の捜査はこれでおしまいだな。何だかえらく疲れた・・・> Aは「明日またやります」と言い残して駅のほうに去っていきました。その背中にもまた疲労がにじみ出ていました。
2005-10-19
ルチノちゃん家出騒動記 その(3)怒涛の捜査1課・登場篇
その日の午後、東京から2時間ほどかけて2人の探偵がY市郊外にある我が家にやってきました。捜査のための打ち合わせです。1人はこの探偵事務所の社長、もう1人は実際に捜査に当たる人で「捜査1課・主任」の肩書きを持つAでした。Aは普段外でばかり仕事をしているためか、日に焼けて色は真っ黒・・・頭には奇妙な帽子をかぶり、腰にはズタ袋とトランシーバー・・・一見すると何の職業に就いているのか分からぬような容貌でした。
A達によると、捜査3日目くらいから情報が入り始めることが多いらしい。迷った末、6日間の捜査で契約しました。私にとっては大金をかけた「大いなる賭け」でした。
ルチノちゃんの写真を渡し、それを使って100枚のポスターを作製してもらうことにしました。また捜査中の呼び寄せのために、一番懐いている人の声をテープに録音する・・・ということで、私がやることになりました。 「ルチノちゃん!こっちだよ!おいで!ルチノちゃん!!」 なるべく普段通りの呼びかけになるように注意して1分ほど吹き込みました。その日は捜査の実際の方法などを1時間ほど話し合い、探偵達は帰っていきました。
明日日曜日早朝から捜査はスタートです。朝8時半から夕5時まで、我が家を中心にした半径1キロほどをポスターを貼りながら徹底的に聞き込みをしていく・・・とのことです。期待に胸は大きくふくらみました。
ところで探偵たちの名刺には、風流なことにある和歌が刷り込まれていました。 「立ち別れ いなばの山の峰に生きふる まつとし聞かば 今かえりこむ」 百人一首の中の在原行平の一首です。あとで聞いたところによると、あるお客さんが「これを載せておくとペットが見つかる・・・縁起がいい・・・」と教えてくれたということです。それで名刺にもポスターにもこの不思議な印象を与える和歌が刷り込まれているのでした。
「・・・・・・今 かへりこむ・・・」 私は祈るような気持ちで、この和歌を口の中で何度も何度も繰り返したのでした。
2005-10-18
ルチノちゃん家出騒動記 その(2)待つ日々篇
翌日金曜日は出社日でした。こんな気持ちを抱えての出社は辛いものがありましたが、家にいて待っているよりは返って良いかもしれない・・・そう思い出社しました。仕事中は没頭していて忘れていることができるのですが、移動や帰宅の車中では途端に気持ちが沈み込み、重いため息がいくつもでてきてしまいます。呼吸も浅く、息苦しい・・・
<たかが鳥一羽でどうしたことだろう・・・>
「ペットロス」という言葉も頭に浮かんできました。ため息は体の自己防衛本能だとか・・・
<ため息をついたっていいんだ>
そう思うと少しだけ気が軽くなる思いがしました。
帰宅後も息子たちと方々を探しまわりました。が、気配は全く無く、こちらの呼びかけがむなしく響くばかりでした。情報も全くありません。帰りを待つ辛い時間だけが永遠に横たわっている・・・そう思うと奈落の底に沈んでいくようでした。
夫は夫で心配してくれたようです。動物が苦手な人・・・と思っていましたが、いつもその手の中で眠るルチノちゃんは特別可愛い存在だったのでしょう・・・インターネットのいくつかの「迷子の掲示板」に情報を呼びかける掲載をしてくれました。するとその掲示板に応えて「迷子のコザクラインコを見つけます」というメールが「ペット探偵」なるものから届いたのです。
<ペット探偵・・・なんだ、それは・・・そんなものがあるんだ・・・>
何やらうさん臭く感じましたが、この探偵の存在は頭の片隅にしっかりと刻まれたのです。
その夜もよく眠ることができませんでした。カーテンの隙間から暗い夜空が見えると
<この外のどこかで心細く震えているのではないか・・・>
そう思えて、胸はザワザワとかき乱れるのでした。
翌々日土曜日。時間が過ぎていくに従い、頭の片隅の「探偵」の存在は徐々に大きくなっていきました。
<成功率85%・・・本当だろうか・・・ちょっとあやしい・・・犬・ねこならともかく小鳥となると難しいかもしれない。でも仕事もあるし、チラシを貼ろうにも個人の力では限界がある・・・探偵に頼んでみようか・・・お金を棄てることになってしまうかもしれないが、それだけやってダメならきっぱりとあきらめもつくかもしれない・・・>
そんな思いを家族に告げました。夫はあまり乗り気ではなかったようですが、「ルチノちゃん命」の長男は「ぜひ頼んでほしい!」と真剣そのもの。いつもは少しのお金にもケチな私でしたが、心が決まりました。
<よし!頼んでみよう!ペット探偵に運命を託してみよう!!>
私にとっては清水の舞台から飛び降りるような大胆な決断でした。
2005-10-17
ルチノちゃん家出騒動記 その(1)突然の家出篇
今日は一月半ほど前に起こったルチノちゃんの家出について書こうと思います。
9月8日木曜日、午前9時半頃、玄関先で集金の方とのやり取りをしているとき、ルチノちゃんが二階から降りてきて私の肩に止まりました。それはいつものことでした。私にべったりと懐いているルチノちゃんは、肩に止まらせて多少外を歩いても飛んで行ってしまうことはない・・と浅はかにも信じている私でした。その時外をごみの収集車が通りました。その音に少し動揺しているような様子を感じ取った刹那、ルチノちゃんがびよ〜んと肩から上空に飛び立ったのです。
<あっ!どうしよう!!でもすぐに戻ってくるに違いない>
と思ったのも束の間、パニックになっていたのでしょうか、西南の方角にバーッと飛んでいってしまいました。
よろめくような足取りでルチノちゃんを探し歩きました。呼べば「ピピッ!」と応える子でしたので、名前を呼びながら逃げて行った方角を中心にあちこちを探し回りました。でも無情にも私の呼びかけに応える声はありませんでした。
お昼過ぎまで探しました。もうぐったりでした。普段の運動不足がたたり、足は痛いし、かかとはむけるしで、どっとベッドに倒れこんでしまいました。突如絶望感と圧倒的な喪失感が襲ってきました。
<もうあの子に会えないのだろうか、あの可愛い姿を見ることはないのだろうか・・・>
そう思うと涙がポタポタとこぼれてきて止めることができません。
そうこうするうちに長男が帰ってきました。高校では期末試験が行われていたので早い帰宅だったのです。
「ルチノちゃんが逃げちゃった・・・」
私の様子から青くなった長男はすぐに家を飛び出していきました。
<探したってムダ・・この広い外の世界に小さな小鳥一羽が見つかるわけがない・・>
絶望感に浸っていたとき長男があわただしく戻ってきました。
「いたよ!!裏の林の木の上にいる!お母さんが呼ばないと戻ってこないからすぐに来て!」
彼が探し始めて30分と経っていませんでした。
<すごい、すごい!いたならもう大丈夫!必ず呼びかけに戻ってくるにちがいない!>
高揚した気持ちで走って林に向かいました。
行ってみると高い木の上のほうに彼はいました。呼ぶとすぐに気付いた様子。下に降りたそうにしていましたが、激しく動揺しているようで、うろちょろしたあげくさらに高いほうへと上っていってしまいました。実は普段から高い位置から真下への飛翔は苦手なルチノちゃんだったのです。
「あっ!だめだめ!そっち行っちゃだめー!」
ルチノちゃんもパニックならこちらもまたパニックです。そのうち東南の方角にババーッと飛んでいってしまいました。
「うそ!うそー!!そんなーー!!」
体から力がどっと抜けました。冷静に考えてみると、降りる気になるまでゆっくりと待っていれば良かったのでしょうが、あせる気持ちから正気を失っていたようです。
その日は夕方まで長男と手分けして探しましたが、気配さえありません。もう見つけることはできませんでした。一度その姿を見ただけに絶望感はさらに強くなりました。何もしていないのも辛いことでしたので、長男と手書きの「迷子のインコ」のチラシを作成し、近所に100枚配りました。
<情報を知らせる電話があるかもしれない・・いやあるはずがない・・・>
揺れる気持ちを抱えたままその夜は更けていきました。
2005-10-14
ピーちゃんのご紹介
我が家のインコ第1号ピーちゃんをご紹介します。
1999年7月15日、友人宅で繁殖したセキセイインコをペアで譲っていただきました。生後2ヶ月でしたが、禽舎の中にたくさんいるヒナ達の中で特に仲良しでいつも一緒にいる♂♀をいただきました。♂はピー、♀はチコと命名。手乗りとして育てられなかったため、この2羽は”かごの鳥”でした。
チコちゃんは2004年1月5日落鳥。4年5ヶ月の短い生涯をかごの中だけで過ごしました。その不憫なことを思うと涙が止まりませんでした。この時”かごの鳥”は二度と飼わない・・・と心に誓ったのです。
さて、つれあいを亡くしたピーちゃん、元気をなくしてしまうのではないかと心配もしましたが、室内を自由に飛び回る手乗り鳥に感化され、やがてかごから出たそうにする素振りが見られるようになりました。
2004年9月10日、ついにその日がきました。開けておいたかごの入り口からピーが飛びたったのです!人の手を恐れて乗ることはいまだありませんが、以来開けておいたケージの入り口を自分自身で自由に出入りできる”特殊なかごの鳥サン”になりました。
仲間と意識しているルチノちゃんの背後にいつも忍び寄り、一緒にエサを食べたり、鳴き交わしをしたり、飛びたがったりしています。自分を人間の仲間と思っているルチノちゃんには相手にされませんが・・・・。
そんなピーちゃん、家族内では”ルチノちゃんのストーカー”と呼ばれています。
2005-10-12
ルチノちゃんのご紹介
家で飼っているコザクラインコのルチノちゃんを紹介します。
2003年10月にペットショップで衝動買いしました。その少し前まで、手乗りセキセイインコが2羽いたのですが、うっかり2羽とも逃がしてしまいました。トホホ・・・。
そんなことがあって、ペットショップで見ていたら、かわいくなって買ってしまったのです。
最初のころの写真2枚です。
・エサを食べています
・おもちゃでお遊び
2005-10-10
ご挨拶
はじめまして!ようこそ「こざくら日和」へ!
2005年9月8日のこと、我が家で大事に飼っていたこざくらインコのルチノちゃんが 家出 をしました。
必死に探しましたが見つかりません。
5日後本当に運よく発見され、無事に我が家に戻ることができました。
その5日間の悲しさ、苦しさは大変なものでした。
わたしはその苦しみを少しでも紛らわせようと、普段はあまり触ったことのないパソコンに向かいました。
「インコの迷子の掲示板」を中心に、ペットを探している方のHP、ペットを亡くされた方の手記、「ペット・ロス」のHPなどを読みふけりました。
やがてインコを飼っていらっしゃる方の幸せそうで素敵なサイトにもたくさん出会うようになりました。
それぞれが自分の大切な「家族」をとても愛しているのがひしひしと伝わってきます。こんな風に愛情いっぱいに記録として残されている動物達は本当にしあわせだなあ・・・と感じました。
大きな喪失感にうちひしがれているわたしにとって、その愛情あふれる記録は辛く感じられることもありました。が、それ以上に大きな力で癒されるのを感じたのです。
これがわたしとHPとの出会いです。
彼が帰ってこなければこのように自分のHPを立ち上げることもなかったでしょう。ルチノちゃんの帰還はわたしに喜びと、この出会いとをもたらしてくれたのです。
大事な「家族」・・・。しかしやがてはお別れがきます(気が早くてごめんなさい)。多分自分よりは早く逝ってしまうであろう「大事な存在」の「生きた証」を愛情込めて・・感謝を込めて・・ていねいに、ていねいに綴っていこう・・・そう考えています。
今日ご訪問くださったみなさま、どうもありがとうございます。そんなわたしの気持ちが少しでも伝わるようなHPになっていれば嬉しいです。
お読みくださった方が少しでも”優しい風”を感じてくださることを祈りつつ・・・それではどうぞ「こざくら日和」でごゆっくりとおくつろぎくださいませ。
実はインコの家出は今回が初めてではありません。2年半ほど前、2羽の手乗りセキセイインコが家出をしています。そのときのインコ達は悲しいことに戻ってくることはありませんでした。今日はその2羽の「家出インコ」達についてご紹介方々書こうと思います。
さて我が家で初めてお迎えしたインコは、以前書いたように”かごの鳥さん”・・・ピーちゃん、チコちゃん(2004年1月5日落鳥)です。この2羽は人の手を恐れ、毎日のエサ替えなどでかごの中に手を入れようものなら、側面に張り付いたりパニクッてバタバタ暴れ回ったり・・・といった状態でいつしか私達は「悲しいお世話係」に成り下がっていたのでした。
そんな日々が2年ほど続いたある日、ペットショップで2羽のセキセイインコを買い求めることになりました。子供時代に手乗り文鳥を飼った思い出があり、また飼育についての本などを読むにつれ、”手乗り鳥”の愛らしさに心奪われ、「どうせお世話するなら2羽も4羽も一緒・・・手乗りがいたらいいなあ・・・」という気持ちが高じてのお迎えでした。この2羽は生後3週間くらい・・・まだ鳥肌の見えるヒナヒナちゃん状態でした。1羽は青、もう1羽は白、当時中1と小4の子供達にそれぞれプレゼント・・という形で我が家にお迎えしました。
ヒナ達のお世話は結構大変でした。粟だまを人肌に温めて、注射器のような道具を使って与えます。挿し餌が一人餌になるまでの間は3時間おきにヒナ達にえさを与えなければなりません。息子達が赤ちゃんだったころの育児を思い出したりして、楽しみながらこのヒナ達を育てました。
少し成長してくるとくちばし上方の「ろうまく」の色から2羽の性別が判明・・・青はオスで白はメス・・・それぞれにルル、シロと名付けました。ルルは割合人懐っこくてやんちゃ坊主・・・シロは人があまり好きではなく、気位の高いお姫さま・・・といった感じでした。インコのペアの場合、オスが年上でないとカップリングがうまくいかないことが多いそうです。メスは年下のオスを馬鹿にしてしまうらしいのですが、この2羽もそれに当てはまり、シロがルルの背中やしっぽを踏みつけたりするような様子が見られました。それでも2羽は鳥同士・・・いつも仲良く一緒でした。
当時私たちは「人にべったりにさせるには1羽飼い」の鉄則を知らず2羽で育てたため、ルルとシロは人の手には乗るものの仕方なく乗っている・・・といった風情で、人と戯れるよりは鳥同士で遊んだりコミュニケーションを取ったりすることを好んでいるようでした。私達はまた「ちょっと空しいお世話係」でした。それでもルルとシロが「あ・うん」の呼吸で並んで飛びかったり、喧嘩をしたり、遊んだりしているのを見ることは微笑ましいものがありました。
そうして2年が過ぎたある日、恐怖の「家出事件」が起こりました。半分ほど開けておいた窓・・・カーテンを引いていたのですが、そのカーテンが風にひらひら翻っている隙間を縫ってこの2羽は外に飛び出していったようです。気づくとベランダに日光浴のために出していたピー・チコのかごの上にいました。外の鳥達のさえずりにひかれて出て行った模様です。
この時も冷静さを失っていました。落ち着いて考えればかごの上に乗せたままの状態でそっと室内へ運べば難なく戻せたに違いありません。ところが馬鹿な私はインコ達を手で捕獲しようとしたのです。シロがするっと手から逃げると、追ってルルも逃げました。そして驚くことに2羽は室内に自分で戻ろうとしたのです。ところが・・・ところが!です!私は窓を半開き・・・カーテンは引いたままにしていたのです!2羽は窓の前でサッと方向を変えるとあっという間に屋根のうえ高く上がり見えなくなってしまいました。 「ルル!シロ!待ってー!!」 私は二度も戻すチャンスを失ってしまいました。ひざから力が抜けました。
すぐにピー・チコの入ったかごを持って方々を探し歩きました。インコ達の声を聞きつけて戻ってくれないかと切実に願いましたが、苦労は報われませんでした。その後ベランダにはいつもえさを出しておいたり、ピー・チコのかごを出しておいたりして戻るのを待っていましたが、この可愛いインコ達の姿を見ることは二度とありませんでした。
失意の中半年くらい過ぎたころ、偶然立ち寄ったペットショップでルチノちゃんと出会いました。小鳥用サークルの止まり木にちょこんと止まっているまだひなだったルチノちゃんは、それはとても愛らしくペットショップのお客さんの注目の的・・・子供達も一目ぼれ状態.。「この子をどうしてもつれて帰りたい」との強い願いに、ルルとシロを失ったキズのまだ癒えていない私は大きく心を動かされました。
こうしてルチノちゃんは我が家の一員になったのでした。これがルチノちゃんとの運命的な出会いです。ピーちゃん、チコちゃんを家にお迎えしなかったら・・・・ルルとシロが家出をしなかったら・・・あのペットショップに立ち寄らなかったら・・・そう考えると「出会い」というものは実に不思議で運命的なものです。ルルとシロのことを思い出すとまだ心が痛みますが、きっとあのインコ達がルチノちゃんをプレゼントしてくれたんだ・・・今ではそう思えるようになりました。
さあ、二度もインコ達を家出させてしまった、ドジでバカな私ではありますが、これからはこんな事がないように気をつけてインコ達との HAPPY LIFE を楽しんでいきたいと思っています。