こざくら日和 : 過去ログ : 2006-06-05

2006-06-05

週間ブックレビュー

ポスト @ 19:22:36 | 01.全て,05.読書の小部屋

日曜朝8時からの放映、NHK BS−2の 「週間ブックレビュー」 ・・・ ご覧になっている本好きの方も多いのではないでしょうか。

この番組のことはちらほらと耳にしていていつかは見てみたいと思いつつ長いときが流れてしまいました(日曜は仕事のことも多いので・・)。が、先日思い切って録画をして初めて見ました。NHKらしい堅い作りの番組ですが、今年で16年の長寿番組らしく読書欲をそそるなかなか良い番組でした。

番組はまず3人のゲストが登場するコーナーから始まります。様々なジャンルの方が3人登場し、自分の選んだ本を推薦します。それぞれが3冊ずつ挙げますが、そのうち一冊は他のゲストと講評し合う”お勧めの一冊”。ジャーナリスト、翻訳家、映画監督などなど・・・三者三様のゲストがご自身の一読入魂の書をまず書評し、続いて司会者を含めたほかのゲストとその本について論じ合います。肯定的に捉える方が多い中、「文学になっていない云々・・・」などの批判も飛び出したりして、それはそれでまた聞いていて面白いのでした。当たり前なことですが、一冊の本を巡っての読み方、感じ方は人それぞれ異なります。論じ合う本を読んでいないのでよくは分からないのですが、「自分だったらどう感じるのかしら」と思うととても興味深いです。

ゲストのコーナーが終わると次は「特集」です。旬の作家や大物作家へのインタビューから電子本などのジャーナルな話題まで、本を取り巻くビビッドな動きを伝えるコーナーで、毎回一人のゲストが登場します。

私が見た回は福井晴敏さんがゲストとして登場。最新作『Op(オペレーション).ローズダスト』を中心にお話しされていました。福井作品は映画化もされた『亡国のイージス』を以前読んでいましたのでとても興味深く拝見しました。今回の『Op.ローズダスト』は東京臨海副都心を舞台に、テロリストとの攻防を描く1100ページもの超大作。『亡国の・・』も同じテイストの小説でしたね。次回は全く違う構想の作品を考えられているとの福井氏の弁でしたが、彼の作品には国家間の攻防、テロなどがテーマになっているものが多く、またそれを得意とする作家のようでもあります。

思うに作家の方をテレビで拝見する機会は案外と少ないもので、作家の素顔に触れることができるのは大変貴重で面白いことです。福井氏は私の想像とは少し趣を異にする方でした。小さな口元からもちもちと言葉を発し、意外や意外、ぷよっと丸いオタク系・・・そんな印象を受けました〜。作品からくる自分の先入観とは異なる作家を目にし、そのギャップを感じることもまた面白いことですね。

さて最後のコーナーですが、「 ベストセラーレビュー」・・・ 様々な切り口で本に関するランキングを伝えます。今売れ筋の旬の本が一目瞭然、 最新流行を確認することができます。以上三部構成の番組をご紹介しましたが、最後に司会の中江有里さんについて。

新聞の対談などでも目にしていましたが、彼女は大変な読書家だと聞いています。今や脚本家としても活躍、多方面で才能を発揮されている彼女ですが、中江さんの穏やかな司会ぶり、きれいなナレーション、そしてさりげなく挟む意見なども見ていてとても感じがよいのでした。そして中江さんは固定の司会者ですが、他にもう一人メーン司会者がいます(5人の方が週代わりで登場する)。その中に大好きな児玉清さんも〜!児玉さんの爽やかで知的な語り口、名司会ぶりを拝見できることもまた楽しみの一つになりそうです。

さて、番組を見ていて思い出したのは以前参加していた読書会のことです。諸般の事情があって今は休会中なのですが、この会もメンバーが挙げた本をそれぞれが読んできて論じ合うというスタイルをとっていました。

色々と良かったことの多い読書会ですが、その効能の一つとしてはまず自分が普段は読まないジャンルの本を読むことによって興味や視野が広がる、ということが挙げられるでしょうか。飛び交うメンバーの意見も実に様々で、一冊の書から色々な切り口で読み論ずることができるものだと実感しました。そして案外難しいのは、頭で考えている漠然とした意見を形にして述べるということです。私は中々積極的には意見の言えなかったほうなのですが、他の方の意見を掬い取って自分の意見に繋げるという作業は頭をフル回転させなければついていけません。普段こうした機会は案外少ないもので、とてもいい頭の体操になりました(老化防止?!にもなるかもしれませんね)。

「週間ブックレビュー」はそんな読書会のことも思い出させてくれました。いつか会にも復帰したいなと思っています。

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最近読んだ本、『白夜行』。肩の凝らない話、ときを忘れて没頭できるミステリーが無性に読みたくなってトライ。途中やや中弛み?そして少しあっけない終わりがちょい物足りない?!でもエンターテイメントとして充分に楽しめた小説。